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宇都宮地方裁判所 昭和24年(行)39号 判決

主文

原告の請求は之を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は請求趣旨として被告が原告に対し昭和二十四年八月八日為したる小麦十四俵の供出個人割当通知は之を取消す訴訟費用は被告の負担とする判決を求むる旨申立て其請求原因として陳述した要旨は「被告は昭和二十四年八月八日原告に対し籔から棒に昭和二十四年産麦類供出個人割当通知により小麦十四俵十貫九百五十匁の割当決定を為し同年八月二十日迄に完納する様申し来たつた然し当該麦類の生産の意思もなければその事業も行わない原告に対し斯かる行政処分を遂行する法律上の根拠はない且つ又被告に於ては同法施行令同施行規則及び食糧確保臨時措置法並に同法施行令に従つて事前割当の目的に徹し生産者に対する農業計画の決定その公示農業計画の指示が行われ順次完成することにより指示を受けた者は農業計画に於て定められた生産数量の確保に努めなければならないことになり茲に食糧管理法第三条第一項の規定による供出義務が成立を見るに至るのである然るに被告に於てそのことが行われていない従つて原告は生産に従事したこともない然らば原告をして供出職務を負担せしむる法律上の根拠はないので前記割当決定通知は取消すべきものである原告は被告の権限濫用により権利を毀損せられその生活を脅威さるること甚大であるから請求趣旨通りの判決を求むる為め本訴請求に及ぶと謂うに在り。(立証省略)

被告指定代表者は主文同旨の判決を求め答弁として原告主張事実中供出割当通知の点は認むるも爾余の点は否認する被告は原告に対し昭和二十四年度麦類農業計画並に生産計画を樹立する為め昭和二十三年九月二十一日農業調整委員会を開き右委員会は原告が吉田村に提出せる耕作農地申告に依る畑耕地八反四畝十九歩の内六反二畝歩に対して割当を為すことを議決し同月二十五日再度委員会を開き割当の公平を期し研討した上同日吉田村役場前に農業計画表を公示したその後昭和二十四年七月二十四日災害に依る災害補正量の割当が栃木県より来たので委員会を開き災害者に対する補正割当を議決し同月三十日吉田村役場前に全部の割当を公示し且つ又個人別に割当通知書を発送したのであると述べた。(立証省略)

当裁判所は職権を以て被告指定代表者本人の訊問を施行した。

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